海洋産業部会

海洋産業部会 ―海洋ロボットとセンサイト― 設立のご案内

 我が国は世界で6番目の広さの排他的経済水域(EEZ)を有していますが、その有効活用という意味ではまだ多くの検討課題を含んでいると言えます。最近では、地球環境の問題からの「脱カーボン社会」やグローバル経済活動に伴う「経済安全保障」等でも海洋関連の課題が指摘されてきています。世界的には国連のSDGs 14「海の豊かさを守る」の提唱の元、海洋環境への取り組みの重要性も認識され、北極海環境調査などへの取り組みも始まっています。一方、国内の動向は、「経済安全保障」の観点から海底資源への取り組みが積極的に行われており、内閣府主導でのSIPでは海底資源開発に向けた研究開発が5年近くにわたって進められ実用化に向けた社会実装への取り組みが始まろうとしています。また、脱炭素によるエネルギー政策の観点から洋上風力発電開発の取り組みが国家的な規模で開始されており、現在は着床式ですが浮体式への取り組みも既に始まり、将来のエネルギー政策の根幹をなすべく実用化に向けて積極的に展開しています。加えて、研究段階ですが日本沿岸地域の地形を活用する潮流・海流発電なども将来を見据えて、実証試験が開始されており、さらに海洋構造物による水素製造等など海に関係するクリーンエネルギーへの研究が進められています。
 脱炭素社会への移行を支える海洋でのCCS/CCUS(二酸化炭素回収・貯蓄・利用技術)も実用化に向けて進められ、海洋の重要性が益々高まってきています。 さらに海洋開発が活発になる中、AUV(自立無人潜水機)・ROV(遠隔操縦機)を始めそこに実装される各種センサ技術・海中通信技術・動力源などの基幹技術開発の重要性が高まってきており、これらは海洋産業の大きな市場開拓につながるものと期待されています。この様な背景から(一社)センサイト協議会では企業の立場から海洋産業の発展に寄与し新しい事業創出を提言すべく「海洋産業部会」を設立しました。

*「センサイト」とはセンサ+AI+IoTを意味する当協議会の造語になります。

「海洋産業部会」設立の経緯

 (一社)センサイト協議会は「センサ+AI+IoT」世界の創出を狙って設立されました。重要活動の一つとして無料ウエブジャーナルによるセンサ関連情報の発信があり、毎月1.8万人近い読者のダウンロードを得ています。その中で今まで4回の「海洋技術特集」を行ってきており、それぞれ2万人を超える読者を得て、この分野の関心の高さを知ることが出来ました。これら活動に加え、「海洋ロボットとセンサ」に関する調査プロジェクトを実行するなど海洋関係の課題調査活動などを行ってきました。さらに海洋政策本部、東京大学、長崎大学、スコットランド国際開発庁、エンジニアリング協会、JAMSTEC、JAPIC等の海洋関連大学および組織と交流を深め海洋技術開発の課題と重要性を認識してきました。
 この間産経新聞社が主催する海洋産業展示会「Subsea Tech Japan」 を企画支援し、並行して海洋ロボットシンポジウムの企画、メールニュース「Subseaニュース」の発行を進めてきました。
 この様な活動を背景に、今回事業部会として「海洋産業部会」を設立し技術の社会実装を推進する事で海洋産業振興を支援し、あわせて部会会員の事業支援となることを目論みました。特に当面重要性の高い「海洋ロボット」と「海洋センサ」に焦点を当てた取り組みを行い、将来的には海洋産業全体を検討した上での事業取り組みを行う予定です。

活動について

 「海洋産業部会」は以下を目標に活動します。

  1. 海洋産業の普及と参加会員企業の事業促進支援企画。
  2. 海洋産業創設支援を通して海洋ロボット・海洋センサの市場調査と事業化促進。
  3. 標準化および実証施設提案による産業普及への取り組み。
  4. 関連団体と連携し海洋産業活性化を支援、新市場創設の取り組み、共同プロジェクトの企画提案と運営。
  5. 海洋関連団体とのビジネスマッチングなどによる新事業創出の支援。
  6. 積極的な海洋関連事業情報の広報活動による海洋産業促進と人材育成。

活動項目

「海洋産業部会」の具体的活動項目は以下の通りです。

 なお本取り組みに関しては一般財団法人 エンジニアリング協会の活動支援を受けております。また総合海洋政策本部連携団体海洋産業タスクフォース、J-Deepの支援も受けております。 活動はSociety5.0などの時勢および国の動向によって課題設定を行う「プロジェクト活動」と定常的に活動を行う「ルーテイン活動」に分けて活動を行います。

プロジェクト活動

1)海洋産業促進に向けた検討と提言

 後述する「対象とする事業分野」に記述される市場および産業を対象とし、市場背景の調査などを通して以下を行います。

  1.  海洋市場の可視化と新規参入リスクの低減による産業活性化
     市場種類、市場規模、市場予測等の情報収集とその内容を検討します。
  2. 企業間連携、産学連携などによる海洋新事業機会の探索と創出
     内外マッチング促進による具体的事業機会創設支援を行います。
  3. 国策を支援し、海外事業展開の課題検討と提言
     海外プロモーション活動の企画を行い、その実行を支援します。
     輸出障壁の調査検討による対応策の検討と実行提案を作成します。
  4. 海外事業拠点構築の検討と提言作成
     海外事業拠点構築による国内海洋技術の海外展開を支援します。

2)海洋ロボット及び海洋センサの新しいニーズ調査とその市場参入への企画

  1. 今後創出される新しい海洋産業に向けた市場情報の調査と参入機会の検討。
     内外市場状況および予測資料の調査とそれによる市場規模を推定します。
  2. 新しく生まれてくる海洋新技術の事業化に向けた機会の創出支援
     海洋ロボットおよび周辺技術の新海洋産業分野への適応可能性を検討します。

 なお、この分野には海中の海洋産業に関連する浮体構造物(船舶)及び空中・衛星技術応用等を含みます。

3)海洋ロボット及び関連海洋センサの信頼性と互換性確保に向けた提案検討

 業界スタンダード構築による世界市場での優位展開を狙い、動力源、センサ等のハードウエアからデータハンドリングなどのソフト関連を含め検討し提案します。

  1. 高信頼性実現と互換性確保のための現状調査による課題顕在化
     現状での課題を調査し、産業育成に向けた課題を明確化します。
  2. 高信頼性実現と互換性確保のための業界スタンダードを検討。
     高信頼性実現のための具体的事項を検討し関連機関に提案します。さらに、互換性確立をめざした標準仕様を検討しその運用のための認定制度を提言、さらにはその認定試験を実現する共用公認実験場「フィールドテストセンター」の創設とその運用支援を目指します。

4)フィールドテストセンターの設置検討と運営提案

 前項における信頼性・互換性実証に関する認定試験を行うとともに下記を検討します。

  1. フィールドテストセンターによる海洋機器の長期信頼性試験の検討とその実施
    実際の海にテストセンターを設け、事前検討された各種信頼性試験を実施、認定承認を行います。
  2. 海洋産業のモデルシステムを設置・運用。
    実際の機材を用いた海洋モデルシステムを設置・運転し、関係企業への積極広報を行います。また実務教育の場として活用します。
  3. 利用者からの課題相談受託、ビジネスマッチング、教育、産業振興などの総合海洋産業支援活動を行います。
ルーテイン活動

1)海洋産業への参入機会調査および各種プロジェクトの企画立案とその実行

  1. 各種関連団体の動向をフォローし事業参入に向けた情報収集を行います。
  2. 海洋関連の長期プロジェクトあるいは調査などの短期プロジェクトに関する情報収集とその実行に向けた企画を進めます。
  3. 海洋関連産業の運営団体・企業とのマッチング機会創設を行います。
  4. 部会内部および外部関連団体・企業をまじえての情報交流会・事業マッチング活動を進めます。
  5. 海洋産業現場調査企画を推進し、実業の実体把握と事業機会創設を狙います。

2)各種情報発信および展示会活動支援による情報交流の促進及び海洋産業の育成

  1. 産経新聞社が主催する海洋産業展示会への企画協賛を行います。
  2. 定期的なメールニュース及びウエブジャーナルの発行による情報交流を促進します。
  3. セミナー・シンポジウムなどの開催により情報交流・マッチングの場を作ります。

3)各種団体・大学・研究機関・外郭団体との積極的交流による産業育成と国策支援および会員企業における事業創設の支援を行います。

  1. 国策関係
    内閣府海洋政策本部、海洋開発研究機構、海上安全技術研究所、石油天然ガス金属鉱物資源機構などの研究国策機関、国土交通省など
  2. 大学教育関係
    東京大学、長崎大学、東京海洋大学、横浜国立大学、神戸大学、九州大学、九州工業大学、その他
  3. 関連学会・産業団体
    海洋音響学会、海洋理工学会、日本海洋工学会 等エンジニアリング協会、日本プロジェクト産業協議会、J-DeEP技術研究組合、 海洋産業研究振興協会、日本財団 長崎海洋フォーラム、長崎産業クラスター形成推進協議会等
  4. 広報・振興団体
    海洋都市横浜海協議会、テクノオーシャンなど
  5. 海洋技術関連団体
    日本水中ドローン協会、日本ROV協会、ALANコンソーシアム等
  6. 海外関連活動団体
    スコットランド/英国を中心にドイツ、オランダ、ノルウエーなどの海外関連団体
  7. その他海洋産業および技術関連団体
    建設・土木、 造船 水産 観光 防衛 資源採掘 海洋環境など

 上記以外も含め、海洋関連活動組織との連携を深め海洋産業創出の支援活動のため交流会・見学会・講演会などを積極的に開催する。

3)人材育成とライブラリー構築

  1. 海洋ロボコン支援などを通して海洋人材の育成の協力へ協力する。
  2. 海洋産業関連の各種情報を一元的に集約し活用出来るように海洋産業情報のライブラリーの構築を目指す。

 なお活動項目は海洋産業部会参加者の議論によって追加変更されることもあります。

対象とする市場分野

 海洋産業部会の目標とする事業分野は以下となります。ただし今後の海洋技術研究の進展によっては拡大・変更していくこともあります。

  • 海洋発電(着床式風力発電 浮体式風力発電 潮流発電 温度差発電 その他)
  • 脱炭素分野(CCS/CCUS 水素応用 アンモニア応用 等)
  • 鉱物資源(海底鉱物資源採掘 海底資源探索 その他)
  • 環境モニタリング(海中炭酸ガス測定 海中環境測定 その他)
  • 海底設備(海底石油設備関連の維持管理とモニタリング 海底ケーブル等の管理)
  • 既存事業分野(水産養殖 港湾・河川土木 その他)

活動組織と計画

 (一社)センサイト協議会の中に「海洋産業部会」を設立します。設立後参加部会員による協議のうえ、活動項目の確認とその順位を決め、必要に応じて部会内にワーキンググループを構成します。
 活動は一期3年間とし、毎年活動報告をまとめ3年間の終了時に継続の可否を検討します。
 活動は会員の課題解決、事業機会創設を目的に海外展開の検討、業界標準の検討、市場情報の把握、実海による長期テスト、教育およびデモンストレーション根戸に加え、専門家による講演と意見交換、現場見学会、ニーズ・シーズのマッチング会合、業種間交流などを行います。

参加利点

 海洋産業部会に参加することで次の利点が得られます。

  1. 調査活動に参加することで関連分野での人脈構築、先行情報入手が出来ます。
  2. ニーズ・シーズ交流によるビジネスマッチングから事業展開の可能性があります。
  3. 交流会・見学会による交流により、事業パートナー、現場情報の入手ができます。
  4. 海外事業展開への実務課題の情報入手と対策案がえられます。
  5. 先端技術開発の最新情報の入手が出来ます。
  6. 市場情報の入手により海洋産業の展開予測が出来ます。
  7. 標準化作業などにより先行技術情報が得られます。
  8. テストセンター企画に参加することで自社技術評価、広報活動などができます。

会員及び会費

 会員は(一社)センサイト協議会法人会員を主体としますが、海洋産業に興味を持たれる非会員及び個人会員も含むものとします。
 会員は毎年の事務活動費としての会費をご負担いただきます。
 なお会員以外に専門知識を有する方をアドバイザイーとして招聘することもあります。

 初年度会費は以下です。
 年会費  法人会員30万円 (ただしセンサイト協議会法人会員は20万円)
      個人会員10万円 (ただし部会で認められた有識者)

会則

会則(PDF)

入会申し込み

申し込みフォームよりお申し込みください。

<事務局>
一般社団法人 センサイト協議会
〒162-0814   東京都新宿区小川町5-5 サンケンビル1F オプトロニクス社内
海洋産業部会 事務局
Tel 03-3269-3550     Fax 03-3269-2551
URL : https://sensait.net/kaiyo/
E-mail :  kaiyo@sensait.net

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